いのちの食べかた

http://www.espace-sarou.co.jp/inochi/

 
これ、お奨めの一本。
我々が普段食べているものは、どこから来て、どのように加工されてくるのか。食の安全性が叫ばれる中、その安全性と生産効率を追求するために、どのような技術が使われているのか。
 
誰もがその効率性の恩恵を受けながら、多くの人が目を背けてきた、あるいは関心すら持たずにいる、食材の生産現場。特に屠畜の現場。ベルトコンベアで運ばれ、工業製品のような流れ作業で解体されていく動物たち。バキュームで吸い上げれ、逆さ吊りにされて首を切られる鶏や、電気ショックを受ける直前にイヤイヤをする牛たちなど、出来れば見たくない場面も少なくない。まさに製品(食材)と化する瞬間だ。
 
でも、これこそがあの美味い焼き肉やステーキや吉野家マクドナルドやケンタッキー・フライド・チキンなのよ。ここで「食材」と化した「」は、我々の胃に直結しているのだ。
 
日本では、こうした現場と部落差別問題が微妙に絡んでいたことから、長く映像化がタブーとされてきた。ある意味、世界で一番、こうした現場を知らない国なのかも。毎年(国内だけで)300万トンの食肉を消費してるというのにね。とにかく、どんなことでも知っておいて損はない。目を背けることなく現実を直視し、命を頂いていることに感謝すべし。
 
ナレーションもBGMも無い、アート映画のような美しい映像も印象的。
 
11月渋谷イメージ・フォーラム他、全国公開。
 

ロケットマン

http://www.rocket-man.jp/

ダン・チューポンとバンナー・リットグライの師弟対決!
 
と聞いてピンと来ない人にはお勧めしません(笑)
  
1920年代のタイ。両親の仇で牛泥棒で妖術使い(なんだそれ)のシンを追うロケットマン(ことスー・シアン)は、妖術使いのダムからシンを倒す秘術を教わる。そして、ついにシンのパワーを奪い、両親の復讐を果たす。
だが実はシンは善人で、ダムこそが真の仇だったのだ!
という、壮大なる勘違い野郎の物語。こいつが単純な勘違いをしたせいで、どんだけ多くの人間が犠牲になることか(あほすぎる…)。
 
躍進著しいタイ式アクション映画の最新版。ここ数年ハマっている俺としては大いに楽しんだものの、一般受けするかは大いに微妙。主人公の勘違いにも「マイペンライ」精神を発揮するタイ映画の王道だが、クライマックスに至る展開がいまいち。もっとも、上記の二人だからしてアクションは相変わらず派手&ダイナミック。アクション、オカルト、恋愛、爆発。面白そうなものは、とりあえず全部盛りにしとけっていう精神が好きです(笑)
 
10月6日、どっかで公開。
 

Wiz/Out

http://www.focus-infinity.com/wizout/

 
大学のサークルメンバーが山奥でのキャンプから帰ってみると、世界からほとんどの人間が消えていた、という実験的な青春映画。NHK教育「しゃべりば!」を観ているような、青臭くも熱い“若さ”がちょっと鼻につくが、完全にゴーストタウンと化した渋谷の繁華街など、目を見張る映像も多い。
 
撮影監督に「ER」のトーマス・シュナイトを起用し、HD撮影、PC編集、DLPプロジェクター上映といったデジタルツールを駆使したことで、低予算ながらオリジナリティ溢れる世界観を見せる。映像や音楽的には、なかなか面白い。園田新監督のデビュー作。
 
主演は沢村純吉と、「就活女優」こと原田佳奈。
 
10月、ユーロスペース他。
 

私の胸の思い出

http://www.pink-ribbon-movie.jp/

 
乳ガンをテーマにした明るいラブコメ香港映画。
 
て、乳ガンをテーマにブコメで良いのか!て思ったけど、試写会場では女性陣のすすり泣く声がチラホラ。うーむ、解らん(^_^;)。よく解らないので、とりあえず女性の感想を聞いてみたい一本。
ちなみに本作は、乳がんの早期発見・早期診断・早期治療の大切さを伝える「ピンクリボン」の応援映画だとか(まあ、どの癌も早期発見・早期診断・早期治療は大切なんだが)。その意味でも、女性やカップル向けでしょうな。
 
監督はロー・ウィンチョウ。プロデューサーにジョニー・トー。主演はミリアム・ヨンとリッチー・レン
 
10月、シネマート系で「幸せになるロードショー」だってさ。
 

ダーウィン・アワード

http://darwin-award.jp/

アメリカに実在する「ダーウィン賞」をモチーフとしたコメディ。
 
ダーウィン賞」というのは、その年最も愚かな理由で死んだ人を、馬鹿な遺伝子を自ら消去したことで人類の進化に貢献した…として表彰する、なんともブラックな賞。
  
主人公マイケル(ジョセフ・ファインズ)は、この「ダーウィン賞」の研究者で、サンフランシスコ警察の優秀なプロファイラー。だが血を見ると卒倒するという致命的な弱点によって警察を追い出され、保険会社に再就職することに。その採用試験として全米各地の不可解な事件を調査するよう命じられたマイケルは、「ダーウィン賞」的発想で難事件を次々に解明していく。だが、やがて自分自身も「ダーウィン賞」(の受賞者)的存在であることに気づいて…てな話。
 
んー。映画としてせっかくの素材(ダーウィン賞)を活かし切れていないなあ…というのが個人的な感想。やっぱこの手の素材は、ハリウッドのメジャー系がストレートに扱うのは無理なんだろうね。
 
ちなみに調査の相棒シリ役にウィノナ・ライダー
他、ジュリエット・ルイス、デヴィッド・アークエット、メタリカなど意外と豪華な面々。
 
まあ、爆笑できるような出来ではないけど、どことなく「Xファイル」を思わせるロードムービーとして、そこそこ楽しめる一本。フィン・タイラー監督。
 
正月映画として、シネセゾン他。