エンマ

密室の屋上はこんなに開放的

 
『エンマノート』というタイトルから『エンマ』に変更。『デスノート』と被るのを避けたか。まあ確かにノートは余り本筋と関係ないしね。
 
いやあ、しかし、1時間半近く深夜テレビ枠のドラマを観ていた気分だったわ。なんつーか映画て感じの絵じゃないな。ドラマ的にもチープだし。深夜に何気なく点けたテレビでコレやってたら「お、なんかこれ面白いじゃねーか」て思うだろうけど、金払って小屋に行ってまで観たいとは思わんわ。
 
そもそも「気が付いたら見ず知らずの数人が記憶を失った状態で密室に閉じこめられており、一人一人死んでいく」という設定が、なんだかなあ…なのよ。これはもう『キューブ』の早い者勝ちが確定しちゃってるからね。二匹目のどじょうを狙った映画なりドラマが多数、似たような設定を繰り返してきたけど、どーやっても(制作者の意図がどうあれ)『キューブ』の二番煎じにしか見えないのよ。俺的には。
 
まあ、そっから先がよほど意外な展開になるなら別だけど、割と早い時間でオチも読めたし。
ていうか、脚本にツッコミどころ多すぎ
 
例えば、閉じこめられた部屋にパソコンがあって、そこに謎のプログラムが走っている。Ctrl+Alt+Deleteを連打した青年が「ダメだ!どうしても止められない!」てパニクるんだけど、どーしてもPCを止めたいだけならコンセント抜けよ
 
警官役のベンガルは熱演だったけど、職務執行中だったという設定。周囲に警官である証明を求められて、「手帳か?拳銃か?テレビの見過ぎなんだよ!そんなもん持ってない!」ていう逆ギレはおかしいだろ。拳銃はともかく、職務執行中に手帳は持ち歩け(^_^;)。つーか結局は拳銃持ってたし。
 
この手の映画では、閉じこめられた部屋は携帯の電波が入らないてのがお約束。本作でもそうだけど、なんとか部屋を脱出した後、主人公の携帯に(犯人から)何度も電話がかかってくる(要するに電波が入ってる)のに、主人公は携帯を使って助を求めようとしない。まず110番しろ。人死んでるんだし。
 
ウィルスが空気感染じゃなくて接触感染するという設定で、感染した人間に誰も触りたがらないというのは解る。とはいえ、感染者に掴まれた瞬間に感染するってのは早すぎでしょ。すぐそばに洗面所あるんだから洗えよ。ていうか、そんなに強い感染力なら、感染者が触った物を平気でいじり回すなっつーの。
 
脱出したものの、そこは無人の病院で、窓には柵があって外に出られない。…そーか?階段の窓は上部に柵がなかったぞ。あれを割れば出られそうだけどなあ。ていうか、ただの柵でしょ。とりあえず窓開けるか割るかして、大声で助けを呼んでみようという発想は誰もないのかね。
 
このネタバレだけはしたくないから分かりづらいだろうけど、記憶をアレしたわりには、それって被害者のソレじゃないし。ていうかそのシステム、穴がありすぎ。もう〜肝心のところが一番ツッコミどころになってるし。
 
他にも色々ありすぎて、そっちを探してるほうが面白かったな(笑)。
 
まあ、見どころはとにかく役者陣かな。脚本のせいで塚本高史はバカっぽく見えちゃったけど、演技そのものは良かったな。近野成美も『エコエコ・アザラク』よりはこーゆー役のほうが合ってるしね。オタクっぽい青年役の佐藤重幸は流石に巧い。TEAM-NACS引っ張ってきただけあって、この手の密室劇なんかお手の物て感じ。ベテランのベンガル山田明郷は当然の如くしっかり仕事してたし、売り出し中の坂本爽もなかなか。
 
他の要素も、特別「悪い」というわけじゃないんだけどね、どうにもこうにも「テレビドラマ」の枠に収まった感は拭えませんでした。
 
そんな感想。