沈黙の奪還

今度デブって呼んだら殺すぞ

http://www.imdb.com/title/tt0448114/
  
このオヤジ、負け知らず。
 
↑これが本作のコピーだそうな。まあ、スティーヴン・セガールが主役の映画だからね。そりゃ負けないでしょ。
  
えーと。この前の『沈黙の傭兵』よりは数倍マシ。特に出だしは良い感じ。『〜傭兵』の時は、いきなり電話している男のアップに「悪徳CIA局員」みたいなテロップが出てびっくりしたけど(映画でそんな人物紹介するか普通)、本作のオープニングでは政府の極秘研究機関が(何やら危なそうな)薬品を開発している映像と、誰かに追われる初老の男を交互に見せることで、本作がスパイ映画であるということを暗示するなかなか巧い導入部だった。
ま、巧いのはそこまでで後はいつも通りの「沈黙クオリティ」だけど、一所懸命考えて脚本書いたんだよ〜ていう姿勢が見えて、ここ数作の中では良作の部類。アクションも結構派手だし。
 
といっても、所詮「沈黙クオリティ」だからね。物語的にはあちこち破綻してるし、一般的なハリウッド・アクションを観るつもりで行くと、かなり残念な気持ちになること請け合い。セガール映画はその水戸黄門的ワンパターンと、力無く笑うしかないトホホな展開、そしてそれらを補って余りある(かどうか微妙だけど)あの独特なセガール拳を観る為の映画なのよ。ちなみに今回のセガール拳は「気功」。負け知らずどころか、セガールがだんだん超人的になっていくのも、シリーズ通しての見どころかも(勝手にシリーズにしてるのは日本だけだけど)。
 
物語は、(例によって)元CIAで現在は実業家のセガールが、生物兵器を巡る諜報戦に巻き込まれ、一人娘を誘拐さてしまうという話。勿論、問答無用のセガール拳で各国のスパイを殴り殺し、最後は娘を奪還するんだけど、CIA、FSBルーマニア警察、FSBの手先として働く謎のタクシー運転手等いろんな連中が出て来て、途中から何が何だかわからない展開に(笑)。後半は娘を誘拐したタクシー運転手と仲良くなって、悪徳スパイをやっつけていく。なんでそーなるんだか…。
 
まあ、沈黙シリーズとしては結構頑張ってたんで、個人的には楽しめた一本。アメリカじゃついに見放されたらしいけど(参照)。
 
それにしても、娘は母親(セガールにとっては妻)を亡くしたばかりという設定なのに、セガール本人はもう裸の美女とイチャイチャしてたり、娘を誘拐した女タクシードライバーを抱きしめたり。女に関しては相変わらず節操がないというか、少なくとも娘を奪還する前に誘拐犯とイチャイチャするな!(笑)
 
うーん。このオヤジ、恥知らず。
 
来年1月公開。