おばちゃんチップス

なんでこの組み合わせやねん

http://www.phantom-film.com/coming/obachips.html
 
長年の夢だった方言の研究をするため、脱サラして(東京から)大阪へやって来た修平(船越栄一郎)。下宿先は典型的な「大阪のおばちゃん」千春(京唄子)が営む、昔ながらの雑貨屋「桶元商店」。修平の部屋から1メートルと離れない向かいには、キャバクラ嬢の麻衣子(misono)が住んでいて、ふとしたことから互いに恋心を抱きあう(ちょっと無理のある設定かと^^;)。
 
東阪の気質のギャップに困惑…ていうか大阪のおばちゃんパワーに圧倒されながらも、それなりに楽しい毎日を送る修平。ところがある日、桶元商店に地上げ屋の魔の手が迫る!しかも東京に残してきた妻(南果歩)の魔の手も迫る!おまけに麻衣子にはストーカーまがいの客の魔の手が迫るのだった!魔の手だらけか
 
とまあ、修平と麻衣子の恋や人情厚い大阪の人々の姿を、笑いと涙で描いた感動作。大阪経済大学の「基盤能力開発講座」で、学生が発表した企画を元に制作された作品だとか。監督は『タナカヒロシのすべて』の田中誠
 
酒井家のしあわせ』同様、「笑い」に関しては今ひとつ…かも。試写室では(俺以外)ほとんど誰も笑ってなかったし。まあ笑いに関しては好みとか、状況とかがあるからね。事実、大阪アジアン映画祭で上映された時は結構笑いが巻き起こったというし。ていうか、以前誰かが「コメディは昼間観ろ」て言ってたのよ。昼間はおばちゃんたちが多いから、その笑い声に釣られて、今ひとつの笑いで爆笑できたりするって。なるほど、それが映画館ならではの臨場感だわな、と納得した話。
とまれ、本作の笑いも質的には悪くない。そもそもマスコミ向けの試写室に大爆笑が拡がったことなんて見たこと無いしね。なんでだろ。ひねた連中が多いのか(笑)。
 
対して「涙」のほうは、なかなか。いかにも昔ながらの人情劇として、しっかりした構成だった。「涙」といっても実際に泣けるわけじゃないけどね。なんというか、良い人情噺を聞いた時のような、清々しい後味。寅さんシリーズというか、むしろ釣りバカ系。
 
アクの強い大阪のおばちゃんたちを演じるのは、京唄子吉本新喜劇中山美保や浅香あき恵を始め、「みかん山」なる事務所所属の「おばちゃん役者」さんたち。本作の力強さと後味の良さは、この「おばちゃん」たちの力が大きい。彼女たちの行動は、大阪在住のスタッフが現実に見聞きした「事実」だそうな。おでんの汁だけをタダで要求したり、置いてある自転車を勝手に乗って行ったりと、その強引かつ逆境に強いパワーは、観ているぶんには非常に楽しかった(個人的には関わりたくないです^^;)。
 
麻衣子を演じるmisonoは、本作が映画初出演。声やしゃべり方が倖田來未に似てるなあと思ったら、実の妹だった。道理で似てるわけだわ。大発見したつもりで我が家のおばちゃんに教えたら、とっくに知ってたそうな。ふん。
しかし、そーゆーことにも疎くなって、自分がすごくおじちゃんになった気がするわ。世のおばちゃんと違って、おじちゃんたちはダメね。
 
ちなみにタイトルになった「おばちゃんチップス」は、グ○コから発売されるとか、されないとか。
どっちやねん。