アガサ・クリスティーの奥様は名探偵

熟年探偵

〜「親指のうずき」より〜
http://www.okutan.jp/
 
フランスの田舎で悠々自適の生活を送るプリュダンスとベリゼールの夫妻。
ひょんなことから手に入れた風景画に奇妙な既視感を感じたプリュダンスは、風景画の元の持ち主である老婦人ローズに興味を持ちはじめる。何でも好奇心旺盛なプリュダンスに一度火が付くと止まらない。おっとり気味の旦那ベリゼールは迷惑顔だが、プリュダンスはさっさとローズ捜索の旅に出てしまう。
調査を進めるプリュダンスは、やがてとある村に辿り着く。怪しげな人物が次々登場するその村で、プリュダンスは村の歴史に恐ろしい事件があり、今も多くの謎が残されていることに気づくのだった。
 
てな感じ。嘘。ていうか、ちょっと端折りすぎ。でも面倒くさいから詳細は公式ページでどぞ。
 
なんで今頃アガサ・クリスティーなのさ? て思ったら、今年は没後30年に当たるんだとか。
ただエルキュール・ポアロミス・マープル・シリーズは流石にネタ切れだったのか、今回は所謂「おしどり探偵」モノ。クリスティー最後の長編「運命の裏木戸」がこのシリーズだったことを思えば、なるほど没後30年に相応しいかもね(でも何で「親指のうずき」?)。
 
もっとも「おしどり探偵」シリーズのトミーとタペンスが、プリュダンスとベリゼールになり、登場人物は皆イタリア製の服を着て紅茶も飲まないあたりが、いかにもフランス映画らしいというか何というか…。まあ、それによって原作の英国的な格調高さは消えたけど、フランス流エスプリの効いた作品には仕上がった。基本的にエンターテインメントなんだから、これは悪くないアレンジでしょう。
 
問題は、このシリーズを知らない人には、二人がこれまでいくつかの事件を解決してきた名探偵だということが解りづらいこと。観てるうちに解ってくるけど、予備知識無しだと最初は戸惑うかも。
 
それ以外は、これといって特に不満無し。いや、細かいこと言えば色々あるんだけど、久しぶりにクリスティー原作モノが観られて嬉しかったから許す。
例によって謎解きの楽しさもあるし、フランスの田園風景や豪華な屋敷など映像的にも美しいし、探偵夫婦(探偵が本職じゃないけど)の、長年連れ添った夫婦ならではの絶妙な掛け合いも楽しかったし。
お子ちゃま向けハリウッド大作が並ぶこのシーズンに、一服の清涼剤として大人が楽しめる一本。熟年カップルがのんびり鑑賞するなら特にお奨め。公開は9月。
 
主演の二人は、プリュダンス役に『奇人たちの晩餐会』や『女はみんな生きている』のカトリーヌ・フロ。ベリゼール役は『赤ちゃんに乾杯!』や『アメリ』のアンドレ・デュソリエ。どっちも超がつくほどのベテランだから、演技に力みがなくて良い。
個人的には『ブレスレス』ではソコソコ綺麗だったヴァレリー・カプリスキが、えーと、なんというか、その…時間って残酷…みたいな感じでちょっと哀しかったかも。
 
 
閑話休題
 
しっかし最近は別の仕事のほうで忙殺されまくり。なんなんだ、この忙しさは!
とても試写どころじゃないので、ここの更新もしばらく遅れます。
つーか、たまに観てもそれをここに書いてる時間がないのよ。この映画も、試写行ったのは2週間くらい前でした(^_^;)。 
おしどり探偵[完全版]DVD-BOXI おしどり探偵 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)