ダメジン
http://www.damejin.com/
「これ面白いの? 僕も楽しめそう?」
久しぶりにお会いした宣伝のHさんに尋ねたら、
「ええ。いかにも映画評論家っ!て感じの方には、"映画になってない"と不評でしたから」と。
わはは。そりゃ俺向きだわな。いや待て…それどういう意味…まあいいけど。
ダメジンとは文字通りダメな人たちのこと。リョウタ、ヒラジ、カホルの三人は、いかに働かずして生きていけるかを真剣に考えて行動するダメな青年達。その周囲にいる大人たちも似たような連中ばかり。誰ひとりとして真面目に働く気はない。当然貧しい。親のスネかじって引きこもってるニートとは違って、どっちかというとホームレス一歩手前の人たちね。
普通、そーゆー環境にいる主人公達は、何とかその暮らしから抜け出ようと努力するもんだけど、本作の登場人物はだーれも努力しない。でもひたすら明るい(バカともいう)。なので妙に幸せそうな生活ぶり。やれるもんなら俺もやってみたい。
しかも、インドに行けば一生働かずに暮らせるという噂を信じた三人は渡航費用を捻出しようとするんだけど、どー見ても本気で稼ぐ気はない。まあ、そこら辺を考えると「映画になってない」てことになるのかも。
でも、それ誰が言ったか知らないけど、これ充分「映画」ですよ。笑いの質はテレビ的だけど、元々三木監督ってテレビの人だし。むしろテレビ的な笑いを映画に持ち込める時代になったということを、解った上でのことだと思うし。そもそも三木聡監督の(所謂)「小ネタ」ってのは、ニュアンスの笑いだからね。それが通じるかどうかは、その空気をどれだけ観客と共有できるかなのよ。一昔前だと「解る人には解る」みたいな(モンティ・パイソンとか)感じだったけど、ネット時代の現在、この映画を観に来る人の大多数は「解る人」だろうし。俺に言わせりゃ『DOGORA』なんかより、はるかに映画だっつーの。
だいたい、キャストが面白いよ(やはりどこかテレビ的ではあるけど)。佐藤隆太、市川実日子、緋田康人、温水洋一、篠井栄介、ふせえり、笹野高史、岩松了、山崎一、片桐はいり、麿赤兒、健吾、加藤歩、村松利史、菅原洋一、岡田真澄、嶋田久作、伊藤美咲、吉岡秀隆。これに竹中直人と住田隆といとうせいこうが加わったら、完璧でしょ。何がどう完璧だか分かんないけど。ていうか彼らは加わってないけど。あ、あと園子温も出てたし。題字はしりあがり寿だし。
「脱力系」と称される小ネタを積み重ねた、ゆるい世界のゆるい物語。ルーザー・コメディの珍しい成功例として、普段頑張りすぎてる人には特にお奨めしたい。仕事に対するやる気が、ほどよく失せます。ただし、これから頑張らなきゃならない新入社員とかは観ちゃダメ。
なんとなく悔しい気分もするが、確かに俺向きの映画でした。あー面白かった。
追記:DVD化されますた
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