青春☆金属バット

原作はこんな感じ

http://www.s-bat.com/
 
このところ、別の仕事が忙しくてなかなかマスコミ試写が追えない。プライベートな問題で行けなかった時期が一段落したと思ったら、今度は仕事。
て、試写観るのも一応「仕事」だと思ってるんだけどね。ただこっちは社内でいくらでも代わりが利くんで、仕事的には優先順位が高いと主張できないのよ。個人的には最優先にしたいくらいだけどさ。ビデオ送ってもらって観るという手もあるけど、やっぱ試写会場で観たいし。
 
で、昨日たまたま時間が空いたのでやってる試写を探して行ってきたのが本作。事前情報も何もなかったので、タイトルだけ観て「熊切監督って…ああ『鬼畜大宴会』の人かあ。しかも金属バットて…陰惨な映画だろうなあ」と思ってたら、全然違ったので驚いた
 
コンビニで働くフリーター難馬(竹原ピストル…ていうか誰だそれ)は、万年補欠として野球に打ち込んでいた高校時代から、27歳になる今も「究極のスイング」を目指した素振りだけが日課。ある日、ふとしたことからアル中の巨乳女エイコ(坂井真紀…巨乳…?)を助け、自宅に連れ帰ってしまう。しかし、暴力的でひたすら酔い続ける彼女はアパートに居着き、酒代に窮した難馬は強盗を試みるも失敗続き。高校時代の同級生で、かつてはエースだった不良警官・石岡(安藤政信)は、偶然見かけた彼らの正体に気づくが…てな話。
 
最近思うんだけど嗜好を離れてとにかくいろんな映画を観ていると、つい「映画としてどうか」という所ばかりに目がいくんだよねえ。でも本来、映画ってさ、よほどの映画好きじゃなければ(2000円近い金を払うんだし)、娯楽として本当に楽しめるかとか、デートに使えるかというのが問題なわけでしょ。映画が娯楽の王様だった時代は過去のことだし。

そーゆー意味で、素振りしか能のないフリーターとアル中女、そして不良警官の青春を切り取っただけの低予算ドラマが、果たしてどれだけ一般受けするかは大いに疑問。古泉智浩の漫画が原作で、漫画原作の映画化が流行とはいえ、ちょっとマイナーすぎるかなと。テーマとしちゃ、テレビドラマでもいいじゃんかの世界だし。
 
でも、そゆことを言うのは本作が「映画として」は意外と良く出来てたからでもある。無駄のない構図と台詞回し、照明、役者の演技、どれをとっても平均以上。しょーもない青春映画だけど、充分引き込まれるし。フリーターとアル中女が花火やってるだけのエンディングで感動するとは思わなかったわ。
 
ちなみに主演の竹原ピストルとは、フォーク・ロック・バンド「野弧禅(やこぜん)」のボーカルで、今回が映画初出演にして初主演。木訥な感じが出てて結構良かった。エンディング・ロールに流れる「ならば、友よ」も野弧禅の曲で、もう一度じっくり聴きたくなる曲。CD探してみようかな。
 
とまあ、正直言って興行的にどうかとは思うものの、(期待してなかったせいもあるだろうけど)映画としては佳作の部類かと。金と時間に余裕のある人は是非。