フライトプラン

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ジョディー・フォスター最新作。フライト中の大型旅客機で、小さな娘を見失ったお母さんの子供捜索劇。
娘を観た客が一人もおらず、乗客名簿にも出国記録にも(娘の)名前がなく、あるのは病院の死亡記録のみ。娘の存在を確信しているのは母親だけで、周囲には(当然)まったく信用されないという、なんとなく「フォーガットン」な導入部。
ローズマリーの赤ちゃん」のミア・ファーロー、もしくは「ディアボロス」のシャーリーズ・セロンばりにエキセントリックな(故に周囲から正気を疑われる)母親。
「コール」に似た“緻密なようで実はズサン”な陰謀。
「パニックルーム」とほとんど同じようなジョディーの演技という、いろんな映画の繋ぎ合わせであるわりには、かなり面白い映画。
 
もっとも、細かい部分を探すとおかしなところだらけ。いちいち書くのも面倒なくらい、プロットの粗さが目につく。まあ映画だし、野暮なことをあげつらう気は更々無いけど、一つだけ気になるのは、必死になって娘探しを続けるカイル(ジョディー)がアラブ人を犯人扱いするシーン。周囲のアメリカ人乗客も一緒になってそのアラブ人を責めるあたり、911以降のアメリカが抱えるパラノイア気質が窺えて興味深い。犯人じゃなかったと分かっても謝罪しないし。アラブ系の人が観たらヤな映画だろうな。
娘が見つかっても、素直に「良かったねえ」と思えないのは、カイルの行動がそういう感じで余りにも尋常じゃないから。子供を守るためだったらどんなことでもする、というのは大いに同意できるけど、もうちょっとやりようがあるだろうに。まあいいけどさ。
 
てなわけで、細かいこと考えなきゃ面白い映画。きちんと金掛けるべきところに金かかってるし。だいたい豪華旅客機全体がセットだからね。ハリウッドでも最大級のセット。内容に対してエアラインの搭乗員からクレームの嵐だそうで、全米初登場1位を獲得した映画らしく話題性も充分。DVD込みでヒットするでしょう。