ドミノ

NKYYSD2005-10-30

http://www.domino-movie.jp/index02.html
 
実在する美人バウンティ・ハンター(賞金稼ぎ)の半生だそうで、映画の冒頭にも「この映画は事実に基づく」とテロップが出る。だがその次に「いちおう(Sort of)」と出る。ハリウッド的に翻訳すれば「ほとんどフィクション」てことだ。
調べてみると、特に彼女自身の経歴について、かなり端折っている部分が多い。パンフレットなんかにも、その辺は書いてないし。
 
まあ、ハリウッド製ヒロインだからね。実はレズビアンでヤク中でした、とは描けなかったんだろうな。ドミノ本人は(そうした描かれ方に)不満があったらしいけど、公開前に鎮痛剤のオーバードーズで死亡。死人にクチナシ。かえって映画の宣伝になっちゃった。
 
実際のドミノ・ハーヴェイは映画以上に波乱万丈な人生を送ったようだ。
(写真は実際のドミノ・ハーヴェイ)
 
ドミノ・ハーヴェイは、1969年8月7日、「影なき狙撃者」のローレンス・ハーヴェイと、彼の三度目の結婚相手であるスーパーモデル、ポーリーンとの間に生れ、「007 サンダーボール作戦」のボンド・ガール、ドミニク・"ドミノ"・ドゥルヴァルにちなんでドミノと(安易に)命名される。
 
父親は彼女が三歳のときに他界。社交家の母は再婚相手探しに忙しく、ドミノは寄宿学校に送られる。
卒業後はモデルとして「ヴォーグ」誌などで活躍したが、性に合わなかったらしい。ロンドンでナイトクラブを経営したり、サンディエゴでカウボーイをしたり、メキシコで消防士をしたりと、職を転々とする。
レズビアンである彼女は、サンディエゴ時代に知り合った男から武器の使い方を習い、自分の中の「男」を意識。20歳で母親の住むロサンジェルスに移り、偶然読んだ「保釈保証人」の新聞記事に触発されてバウンティ・ハンターとなる。
思い付いたらソッコーで実行に移す行動力がすごいというか、落ち着きの無い女の子というか、生き急いだ人生ではある。
 
しかし、その時点で既に彼女はヘロイン中毒だった。現役時代、彼女は約50人の逃亡犯逮捕に関与したが、仕事中もドラッグを手離すことはなかったという。ショットガン片手に合法的に人を狩るジャンキー。ある意味、逃亡犯よりヤバいのである。
やがて彼女の噂はトニー・スコットの耳に入り、彼女は自らの半生の映画化権を35万ドルで売った・・・というのが表向きの資料だが、実際は金に困った彼女が映画会社に売り込みに回った挙げ句、5万ドルそこそこで買い叩かれたという説が有力。ジャンキーの末路は常に悲惨だね。
 
映画公開直前、麻薬密輸容疑で逮捕された彼女は、自宅で当局の監視下に置かれていた。裁判の結果次第では懲役10年の実刑判決(下手すりゃ終身刑)という状況であった。
そして6月27日、家族の友人によって、浴槽で死んでいる彼女の死体が発見される。状況から考えて自殺の可能性もある。享年35歳。映画のヒロインのイメージとはかけ離れた、寂しい(しかしパンクな)最後であった。
 
てなことは、映画ではほとんど触れられない。
まあ、映画としては、いかにもトニー・スコットらしい派手な娯楽アクションにまとまっていて、それはそれで面白い。主演のキーラ・ナイトレイの(明らかにブルース・リーを意識した)ヌンチャク捌きや、「キング・アーサー」では見えそうで見えなかったオールヌードなど、(俺への)サービスも満点。
また、復調著しいミッキー・ロークが素晴らしい好演を見せる。顔をわざとめちゃくちゃに整形した効果か出てきたか。「シン・シティ」といい本作といい、トラボルタ以来の「復活劇」は近い…気がする。
ただ、色調にまとまりの無い映像がややうるさい。カットを多用したアクションシーンは大画面で観てると目が疲れる。(年齢的な原因かもしれんが)

あゝ! 一軒家プロレス [DVD]
あ。あと、どうでもいい話だけど、過激なテレビ・プロデューサーを演じるクリストファー・ウォーケン「あゝ!一軒家プロレス」の佐野史郎とダブって、なんか笑えた。
 
本作は既に公開中。俺も久しぶりにレイトショーで観た。近所のシネコンだったが、金曜の夜というのに観客は数人だった。寂しかった。
 
追記:DVD化されますた

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