ノエル

http://www.noelthemovie.com/index.htm
 
スーザン・サランドンペネロペ・クルス共演のハートウォーミング・クリスマス映画。
あと、なぜかクレジットされてないけど某大物俳優が出てる。て、ネットで調べりゃすぐにでも分かっちゃうだろうけど、こういうサプライズは映画を観る時の楽しみにとって置いた方が良いと思うから、ここを最初に見た人は、他で情報集めないで観ることをお奨め。(調べちゃうと楽しみが無くなるでしょ?)
 
クリスマス映画とは言っても、本作の登場人物達はN.Yのクリスマス・イブというお祭り騒ぎを、外側から眺めるしかない境遇の人々。
 
離婚して病気の母親を看病し続ける「子供のいない児童書編集者」ローズ(スーザン・サランドン)。
婚約者の病的な嫉妬に耐えかねて家を飛び出したニーナ(ペネロペ・クルス)、それによって最愛の恋人を失った警官マイク(ポール・ウォーカー)。
子供の頃に病院で祝ったクリスマスだけが唯一最高の想い出と語る毒男ジュールズ(マーカス・トーマス)。
いつまでも死んだ妻の面影を追い続ける老人アーティ(アラン・アーキン)。
そして誰も見舞客のいなかった病室に突然現れた不思議な男(某大物)。
 
ただでさえ孤独な彼らにとって、全ての人がハッピーに見えるクリスマス・イブは苦痛でしかない。自らの孤独と向き合い、自らの人生を振り返り、息を潜めて夜が明けるのを待つ人々。そんな彼らの人生がほんの少しずつ絡み合う一夜のドラマを経て、夜が明けたクリスマス当日、彼らにささやかな奇跡が起ころうとしていた…てな話。
 
インディペンデント系だからというわけでもないんだろうけど、アメリカ映画としてはかなり良質な作品。思わず泣けた。いや勿論、男の子だから一滴だけだけど。
でも不思議なのは、この映画が誘う涙は、誰かが死んじゃったよ〜系の「別れの涙」(韓流涙と命名)でも、奇跡が起きて良かったね〜系の「感動涙」(聖林涙と命名)でもないんだな。なんつーかこう、絶望的な孤独の中で、ふとした優しさに触れた時に流す涙に近いというか。いやむしろ本当の孤独というものを登場人物を通じて疑似体験したり思い出したり(笑)、もっとこう人間の本質的な哀しみを味わった時の涙というか。て、何言ってんだろ俺。だんだんワケわからなくなってきた(笑)。
 
クリスマス映画の決まり文句で、「奇跡を信じたくなる映画」とか「身近なところに奇跡はある」てな宣伝文句がよくあるけど、本作で描かれる奇跡は(確かに映画としては重要なポイントだけど)個人的にはどうでもいい気がする。むしろ、日常の中の小さな出会い、ちょっとした優しさの中に大切なものが隠れているのかも、て気にさせてくれる。それは、独りぼっちで本作を観た人への大きなクリスマス・プレゼントになると思うのだ。
 
まあ、全体的なムードは暖かくて軽やか。それだけに余計登場人物の孤独と優しさが伝わる仕掛けが巧い。
アメリカ映画の伝統として、クリスマス映画には直球で勝負できる作品が少なくない。本作もクリスマス直前にもう一度観たい映画でした。たぶん12月10日頃公開。
 
そういえば某巨大掲示板毒男(独身男性)板では、夏を過ぎた頃から「今年のクリスマスをどう乗り切ろうか」という話題が盛り上がりをみせてた。確かに、クリスマス・イブって、クリスチャンであろうと無かろうと、ひとりぼっちでいるのは嫌なもんだ。街に出ると皆が浮かれていて、家族や恋人と幸せそう(に見えるの)で、普段気にしない孤独が身に染みるっちゅーかね。俺も独身時代、デートの相手もいない年のイブは自分から進んで宿直勤務を買って出たもんだわ。
 
あ、あと今日の二本を観て思ったのは、どちらにも「ゲイに間違われた男が慌ててそれを否定する」というのが笑いを誘うシーンとして使われていたんだけど、それって裏を返せばそれだけアメリカではゲイかノーマルかをはっきりさせなきゃいけない、てことなんだろうなと。実際に教会に通う人がどれくらいいるかは知らないけど、文化の背景にキリスト教があると、やはりゲイっていうのは一種のタブーなんだろうなと(タブーは笑いになる)。性に大らかな日本だと、それほど笑いのテーマにされないような気がするんだけど。て、まあ深く考えた事じゃないけどね。
 
追記:これもDVD化されますた。クリスマス・シーズンにどぞ

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