マダムと奇人と殺人と

http://www.longride.jp/madame/
 
フランスとベルギーとルクセンブルグの合作映画。
一応、美大生連続殺人事件と、事件を追うレオン刑事(「仕立て屋の恋」のミシェル・ブラン)のドラマが縦軸ではあるけど、ビアカフェ「A La Mort Subite(字幕では「突然死」と訳されてた)」に集うおかしな人々の人間模様を綴ったブラックコメディと捉えたほうが正確。
 
フランス系のコメディは説明の難しい作品が多いが、製作者の一人に「世界でいちばん不運で幸せな私」のオリヴィエ・ロザンがいて、「クリムゾン・リバー2」のフランソワ・ディックが美術をやっていて、テクニカル・コーディネート(モノは言い様)が「アメリ」のピエール・ジュネと言えば、分かる人には想像がつくかと。
 
とにかく、本筋と関係の無いところに変な人多すぎ。犬も喋るし。
本作がコメディ足りえているのは、彼ら脇役たちがユーモラスだからだ(本筋だけをよくよく考えると結構生臭い)。おかしなキャラがいっぱい出てきて、それだけで楽しめる作品だが、一際目立つのが原題にもなっているマダム・エドゥアールこと、オカマのイルマ。ビアカフェ「突然死」の掃除婦(夫?)。長い間音信不通だった娘が訪ねてくると知って落ち着かず、その挙動不審ぶりがなんとなく可笑しい。
 
だいたい、ベルギーとかフランスとかのコメディ・センスって、この「なんとなく可笑しい」てのが多い気がするね。「突然死」という店の中で、ホモの掃除夫が娘の到着を待って落ち着かず「突然死(ビールの銘柄でもある)ちょうだい」と叫んでる姿そのものが「なんとなく可笑しい」のよ。シチュエーション・コメディと言うより、もっと大きな枠組みの中で笑いを引き出そうとしているちゅーかね。説明難しいけど。
 
色使いとかも、やっぱフランス系ならではの独特のセンス。
こうした映像が「斬新で洒落ていて素敵」という「時代」が、かつて確かに存在した。て、今も存在してるのかな。
ただ個人的には、この色使いセンスにちょっと食傷気味。フランス系のコメディは世界をキッチュにし過ぎる、というのが僕の中で定着しちゃってる。嫌いじゃないけど、長時間見てると疲れるのよ。
 
まあ、映画そのものは結構楽しいので、ヒットして欲しい。
 
関係ないけど、最近マスコミ試写の日程が短くなってきた…気がする。気のせいか?
 
追記:DVD化されますた

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