Dear フランキー

  
若き英国人女性の初監督作品ながら、各国映画祭で好評だった作品。
最近は映画祭もいろいろだから、何かの賞が作品の質を保証するわけではないが。
とはいえ、本作は地味〜ながら、そこそこの佳作。
 
夫のDV(ドメスティック・バイオレンスだっけ)から、スコットランド中を転々と逃げ回る女性・リジー。難聴の息子フランキーには「父親は航海士で世界中を旅している」と(嘘だけど)説明し、父親になりすまして文通とかしてる。それが、リジーにとって、難聴の息子から聞ける唯一の「声」だから。
ところがある日、「世界中を航海中」のはずの船が、近所の港に寄港することに。記憶すらない父親にやっと会えると大喜びのフランキーだったが、リジーは大慌て。過去も未来もなく「一日だけの父親」になってくれる男を探そうと奔走するのであった。てな話。
 
説明過多のハリウッド作品に馴染んでいると妙に素っ気なく感じるかもしれないが、映画話法に手抜きがあるわけではないので、じーっと観ている内に引き込まれる作品。主要スタッフが全員女性ということで、甘ったるい家族再生物語かと思っていたらそうでもなかった。DVという重いテーマも、政治性は徹底して排除し、さりげないユーモアと女性的繊細さで上手に包んでいる。家族の絆の物語として、爽やかな感動作。
 
ジー役は、ユアン・マクレガーと共演したエロ映画(じゃないのか?=「猟人日記」)以外記憶にないエミリー・モーティマー。日常生活をドラマにするには、ある種の極端や究極さが必要だが、本作ではリジーの「嘘」がドラマを引っ張る。
難聴の息子フランキー役は、実は健常者のジャック・マケルホーン。天才子役という言葉は聞き飽きたけど、確かに上手。でも「天才子役」てのも大変だろうな。
「一日だけの父親」役は「オペラ座の怪人」のジェラルド・バトラー。て「オペラ座の怪人」観てないんだよなあ。なので個人的には「トゥームレイダー2」のあの人。悪人顔だけど、役柄で良い人に見えた。好感度アップ。
http://www.wisepolicy.com/dear_frankie/
 
追記:DVD化されますた。やっぱいいわ、これ。