ビヨンド the シー 〜夢見るように歌えば〜

 
ケヴィン・スペイシーといえば、どうしても「セブン」とか「ユージュアル・サスペクツ」とか「L.A コンフィデンシャル」とか、ちょっとクセのあるイメージが強かったんだけどな。
それが本作じゃ人生をポジティブに生きる男を演じ、しかも(18曲も)歌って踊って、これがまたバッチリ決まってる。悔しいくらいにカッコいいし。
 
ケヴィンが演じるのは、50年代後半から70年代前半に活躍した名エンターテイナー、ボビー・ダーリン。7歳の時にリウマチ熱で心臓を痛め、15歳までしか生きられないと宣告されながらも音楽の才能に目覚め、20代でフランク・シナトラに勝るとも劣らない人気を手にした天才シンガーだ。
14年間の芸能生活でビルボードトップ10入りを10曲、二度のグラミー賞に輝き、映画ではいきなりアカデミー賞ゴールデン・グローブ賞にノミネート。スター女優サンドラ・ディーと結婚し、最後はテレビ司会者として活躍。37歳でこの世を去るまで、様々なジャンルで成功を納めてきた伝説の男。

ビヨンド・ザ・シー~伝説のボビー・ダーリン(CCCD)

ビヨンド・ザ・シー~伝説のボビー・ダーリン(CCCD)

 
な〜んかケヴィンのイメージじゃないんだけど、実は彼、ボビー・ダーリンの大ファン。
10年以上前からいつかボビーの映画を撮ろうと準備を始め、吹き替え無しで歌いたいがために4年間も歌の練習をしたという。
製作、監督、主演の三役を務め、まさにケヴィン・スペイシーによるケヴィン・スペイシーのための映画なのだ。
 
やっぱハリウッドのスター俳優ともなると、なんでも好きな映画が撮れるのね。
もっとも、他国映画の版権を金で買い漁ってはリメイクしているスター連中と違い、ケヴィン・スペイシーの場合は対象への情熱が明らかに違う。
正直な話、過去10年のミュージカル映画で、これほど心躍った作品はない。
個人的な感触としては「シカゴ」を越えたとすら感じている。
「シカゴ」がオスカーなら、本作ももしかしたら、もしかするかも。
 
追記:DVD化されますた