ラッキーナンバー7

風邪引くよ

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20年前。いわゆる「負け組」の一人マックス(スコット・ギブソン)が、闇金から大金を借りて一発勝負に出る。八百長競馬の情報をつかんだので、その馬に全額賭けたのだ。絶対確実と思われた情報だったが、ゴール直前に馬が事故死。一瞬にして巨額の借金を負ったマックス。当然、返済能力はない。当時新興勢力として売り出し中だった闇金組織は、「見せしめ」としてマックスと彼の家族を皆殺しにする。
 
それから20年後の現在。以前は盟友だった闇金組織の二人のボス、通称ボス(モーガン・フリーマン)とラビ(ベン・キングズレー)は仲違いし、道を隔てたホテルのペントハウスに住んでにらみ合っている。ある日、ボスの息子が暗殺され、それをラビの仕業と確信したボスは、凄腕の殺し屋グッドキャット(ブルース・ウィルス)を呼び寄せる。ラビの息子を殺して欲しいと依頼するボスに、ボスから巨額の金を借りているニックという男を利用しようと持ちかけるグッドキャット。ボスの手下がニックを迎えに行くと、そこにいたのはニックの友人だと主張するスレヴィンという男(ジョシュ・ハートネット)だった。人違いだと主張するが全く信用されず、ボスの前に引き出されるスレヴィン。彼をニックだと信じ込んだボスは、彼にラビの息子殺しを命令する。成功すれば借金はチャラ、断れば殺す。選択肢のないスレヴィンは、仕方なくそれを引き受けるが…てな感じ。
 
 
既に観た女性陣から不評の声が上がっていたのでさほど期待していなかったが、俺は意外と楽しめた。もっとも「売り」である「どんでん返し」には全く意外性なし。上映始まって15分ほどで、だいたい結末読めちゃったし。アレはちょっと問題だよなあ。そもそも前半で伏線張りすぎなのよ。ていうかグッドキャット語りすぎ。あほか。
 
それでも楽しめた要因は、まずはキャスティング。主演のジョシュ・ハートネットが予想以上に良かったし、殺し屋役のブルース・ウィルスもバッチリ適役。ていうかブルース・ウィルスは警官か殺し屋しかないっしょ。
敵対する組織のボス役がモーガン・フリーマンベン・キングズレー。Missデイジーの運転手VSガンジーね。さすがにどっちも巧い。小悪党にスタンリー・トゥッチとかダニー・アイエロなんかも出てて、実に分かりやすいというかツボを心得た配役。
更に良かったのがルーシー・リューで、今時珍しい可愛い女を見事に演じきってた。彼女はこういう役柄が似合うのよ。このキャラが女性陣に不評だった一因かもしれんが(笑)。
 
それと、俺が気に入ったのは、本作が弱者からの復讐ドラマとなっているところ。ジョシュ・ハートネットが復讐の天使として、二人の王を追いつめる。王が玉座に上り詰めるために、あっさり切り捨ててきた(彼らにとっては)些細な過去が復讐を果たす。資本主義社会の、いわゆる負け組の復讐を描いた作品と思えば、本作はある種の神話に近い。
 
驚愕のラスト!とか宣伝しながら実はちっとも意外性がないという致命的欠陥はあるものの、キャストは豪華だし、映像は実にスタイリッシュだし、リズムの良い娯楽作としてはソコソコ楽しめる映画。
 
もっともタイトル(邦題)は余りにも酷いね。原題「LUCKY NUMBER SLEVIN」は、それこそ大きな伏線なのにね。
 
来年1月公開予定