バトル7

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アジア映画の新潮流として「タイ道」にハマっている身として、最近過去のタイ映画を観る機会が多い。その結果、タイ映画が面白くなってきたのはごく最近だと知った。ちょっと観た程度で過去のタイ映画全般について語れはしないが、俺が観たいくつかの(ちょっと昔の)作品は意外と地味だったのだ(マイペンライ・スピリットは変わらないが)。
具体的に言えば「アタック・ナンバー・ハーフ」以後、タイ映画はかなり変わってきたと思う。監督を始め、作り手達に大きな世代交代があったとみえる。
 
本作の監督、チャーレム・ウォンピムも新世代監督の一人。「デッド・アウェイ」では銃弾の無駄ここに極まれり!というほど「なかなか当たらない」銃撃戦で笑かせてくれたが、話自体はシリアスな展開で意表を突かれた。
しかしまあ、俺がタイ映画に期待するのはシリアスドラマではないのも事実。
やっぱこう、常識やリアリティなんぞ完璧に無視しても、映画として面白ければ良いじゃんか的サービス精神こそが、タイ映画の醍醐味。男として、どこまででかいホラが吹けるかが勝負!みたいな姿勢こそが楽しいのだ。
 
てなわけで、タイで爆発的大ヒットを記録した本作も、そうした基本姿勢はバッチリ継承されている。タイの国民的映画「ワン・バイ・セブン」(58)のリメイクで、七人の戦士が国を守るという設定(しかも今回は米軍から守るのだ!)。米軍精鋭部隊のリーダーが、「デッド・アウェイ」にタイ警察特殊部隊リーダーとして出演していた役者で、どうみてもタイ人顔なのだがマイペンライ
 
ストーリー紹介は敢えてしないが、登場する七人のプロフィールをプレスから引用しておく。
 
・赤パン(ポングパット・ワチラブンジョング)
二丁拳銃のリーダー
特攻野郎七人のリーダー。6人の仲間と共に幾多の戦場で戦ってきた歴戦の勇士。ひとたび戦闘となると腰に縛りつけた二丁拳銃を使いこなす凄腕ガンマン。なぜか赤い短パンをこよなく愛する独特なファッション・センスのオーナー。しかも仲間から赤パンをバカにされると烈火の如く寂しがるピュアな心の人。以下略。
 
イカサマ(アマリン・ニティボン)
ドツボ・ギャンブラー
金がなくなりゃ幼児からも巻き上げるジリ貧ギャンブラー。
コイツのイカサマがもとで七人はトラブルに巻き込まれることになる。
とにかく三度の飯よりギャンブルが好き。以下略。
 
・ロマンス(ピーセック・インドラクンチット)
失恋番長
戦場ではアグレッシブな喧嘩番長。しかし実生活では恋人いない歴を更新中の失恋番長。
最近も除隊して故郷に帰ってみると、結婚を誓い合ったはずの恋人が近所のボンボンと恋仲になり妊娠していた、という哀しきサプライズに見舞われる。中略
また赤パンのファッション・センスに対してピーコ並に厳しいジャッジをくだす無神経な一面も持っている。
 
ムエタイ(ボンサック・ホンスワン)
殺人キックの鬼
八百長専門のムエタイ・ボクサー。
酒と夜遊びで作り上げれたボディを見る限り実戦能力は未知数。
そんな生活態度からも分かるように、かなりマイペンライ・スピリッツのある男であることは確か。
また、仲間たちに自分のファッション・センスを酷評されてブルーになる赤パンをそっと慰める男泣かせな一面も持つ。以下略。
 
・鉄拳(チャム・チャムラン)
直撃マグナム拳
職業:板金屋。素手で鉄板をボコボコにするほどのハードパンチャー。その破壊力は米兵のアゴを粉砕するほどである。チャイルディッシュなルックスとは裏腹に喧嘩っ早く、女にも手が早い。
除隊後、勤めていた自動車修理工場の社長の奥さんをボテ腹にしてしまい、逃亡中だったところを秘宝強奪の話を持ちかけられる。
 
・和尚(コム・チュアンチュエン)
禁欲エロ坊主
爆破のエキスパート。戦闘でも拳銃より手榴弾など爆発物を好んで使う。
が、飛びっきりのお母さん子というチャーミングな一面も持つ。それゆえに戦場から帰ってきた和尚は、母親を安心させるために仏門に入る決心をする。中略。
しかも現在は出家をするために禁欲中。そのため女子の裸に遭遇すると、興奮し怪力になるという古典的な特技を見せてくれる。
 
・ジミー(トサポール・シリウィワット)
ジェームス・ディーンみたいな男の子
京劇一家に生まれた華僑にもかかわらず、自分をジェームス・ディーンの生まれ変わりと信じる穀潰し。ご自慢のハードなモミアゲは直筆。そんなジミー(自称)が軍隊に入隊したのも、先祖代々続く京劇役者を継ぐことを拒んだ家出だった。中略。
得意技はクンフー。その腕前はマイケル・ホイ程度・・・。しかし相手の背後に回り込んで首の骨を折るエグい戦法を得意とする。
 
と、いかにも「こども商事」監修な紹介文ではあるが、というかプレスが「映画秘宝」12月号そのまんまというのもどうかと思うのだが、まあそのへんもマイペンライということで。
とにかく強いんだか弱いんだか分からないけど、ひたすら熱くて間の抜けた男たちの活劇。無尽蔵に弾が出る大砲等、リアリティ無視のアクションに加え、ラストの極めて罰当たりなギャグに至るまで、爆笑と脱力と興奮を繰り返す、これぞ「タイ式」。小屋の大画面で観てこそ、その非日常性(非常識さ)が際だつので、是非とも興行的に成功して欲しい一本。
 
追記:DVD化されますた

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