男たちの大和

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男たちの大和/YAMATO 限定版 [DVD]

男たちの大和/YAMATO 限定版 [DVD]

 
終戦記念日ということで、たまにはこんなDVDでも。世評は高かったし、仕事仲間の評判も良かったのでちょっと期待。て言ったらすぐにDVDくれたO君ありがとう。早速バリバリ期待して観たよー。
 
……。
  
…まあ、アレだね。『戦艦大和』じゃなくて『男たちの大和』だからね。親父や親戚から聞いたり、これまで何かで読んだり観たりしてきたものと細かい部分が色々違うけど、あくまでこれは『男たち』のドラマということだよね。 ね?
  
従来の日本の戦争映画といえば、とにもかくにも『反戦』がテーマだったけど、本作はその点ちょっと趣が違う。決して肯定はしてないけど、むしろメッセージとしては「あの戦争で死んでいった者たちを忘れるな」という感じ。そーゆー意味ではまさに男泣きの映画で、観応えはあった。時代的な空気にもマッチしている。
 
ただ映画の質としてはねえ…。
あの『タイタニック』から10年だよ。いくら巨大セットを作ったといっても、それに拘りすぎたか、艦が全然動いているように見えないってのは今時どうなのよ。戦闘シーンでバカスカ物が壊れるのに、手すりとか甲板とか壁とか(血糊がべったり付くだけで)全く壊れないのも変でしょ。あと元海軍兵の最後の敬礼…あれ陸軍式の敬礼じゃないのか?
 
いやまあ、そーゆー細かいところはともかく、この映画の映像は、折角の戦闘シーンが迫力に欠けるのよ。当時のニュース映像を織り込んだりするから、かえってリアリティが無くなってたり、敵機の映像だけ独立して映すから速度感が伝わりにくかったりと、映像技術的な不備が目立つんだよね。
そりゃ予算の違いは大きいだろうけど、酷評されまくったかのパールハーバー』でも、日本戦闘機の迫力はそりゃ凄かったからね。いかにもジェリー・ブラッカイマー的「派手だけどクソ映画」の代表例みたいな映画だけど、あの映画はあの戦闘機シーン観るだけでも価値あったもん。
 
で、そうした例えば『パールハーバー』の戦闘機シーンなり、例えば『タイタニック』の沈没シーンなり、はたまた『プライベート・ライアン』の銃撃シーンなりを観てきた映画ファンにとっては、どうしても本作の戦闘シーンが「作り物」ぽく見えちゃうんだよな。
 
勿論、それが全てじゃないよ。映像のリアリティってのは予算的な問題も大きからね。限られた予算内でよくやった、という見方もあると思うし。ディティールはともかく、ドラマそのものは確かに良く出来てたし。中村獅童松山ケンイチ寺島しのぶ辺りの演技も良かった。愛する人を失った女性の悲しみもきちんと描かれていて、「男たち」だけの映画でもない。長渕剛の主題歌も胸に染みるしね。てことで、総合評価としてはかなりの秀作。それだけに映像的な部分が惜しかったな〜と。
 
監督は、あ、佐藤純彌て、あの『北京原人』の監督かあ。あれは凄かったなあ、いろんな意味で。すごいよ〜『北京原人』。未見の人は一度…いや、観なくて良いけど(笑) つーか、『人間の証明』『空海』『敦煌』の監督でもあるからね。人間ドラマの演出は、流石に手慣れた感じを受けたです、はい。
 
てな感じなので、人気作だから今更俺が推すまでもないけど、未見の人は是非どうぞ。特にアメリカ人とか。あの戦争で死んでいったのは兵士だけじゃないからね。非戦闘員である民間人に対して無差別虐殺(東京大空襲だけで10万人、原爆で30万人以上)をやった側の感想も聞きたいわ。
ま、観る時は細かいこと気にせず、そのメッセージに耳を傾けましょう。
 
原作はこちら↓
男たちの大和―コミック版 (ジェッツコミックス)

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