かちこみ ドラゴン・タイガー・ゲート

龍虎門のイケメン三人組

http://kachikomi.gyao.jp/
 
面白い!
 
て、この邦題は相変わらずひでえなあ(笑)。原題そのまま『龍虎門』でいいじゃんか。
 
舞台は現代とも近未来ともつかない架空の都市。そこに最強と正義の代名詞となっている武術道場「龍虎門」がある。その正統な後継者でありながら、幼い頃に生き別れとなったドラゴン(ドニー・イェン)とタイガー(ニコラス・ツェー)の兄弟、そして龍虎門へ入門しようと旅を続けてきたヌンチャクの達人ターボ(ショーン・ユー)。
 
そんな彼らがマー(チェン・カンタイ!)率いる秘密結社「江湖」と関わったことで、運命的な出会いを果たす。だが江湖が上部の犯罪組織「羅刹門」とトラブり、彼ら三人も羅刹門と敵対することに。羅刹門の首領「火雲邪神」(ユー・カン)によって師匠(兄弟にとっては叔父でもある)ウォン・ホンロン(ユン・ワー)とマーを殺された三人は、無敵の火雲邪神を倒すべく立ち上がるのであった。
 
とまあ、だいたいの筋立てはこんな感じ(かなり端折ってるので、詳細知りたい人は公式サイト等へどうぞ)。
原作は、香港で35年以上愛されているという人気コミック(未読)。もっとも、基本的な設定とキャラクター以外はオリジナルだとか。
 
しかしまあ、原作からしてそうなんだろうけど、金庸などを源流とした武侠ネタが満載(おごさんとかが歓喜しそう)な映画だね。だいたい『カンフー・ハッスル』とかもそうだけど、中国(香港)の武侠映画てのは、どこまでその元ネタを知っているかで楽しめる度合いが異なるのよ。例えば本作や『カンフー・ハッスル』などで悪役として登場する火雲邪神なんて、無敵の達人としてこれまでも多くの武侠映画に登場しているキャラだし。ちなみに『カンフー・ハッスル』でシンチーが火雲邪神を倒す「如來神掌」は、元々火雲邪神の必殺技(古い香港映画を観て偶然知った)。本作でギャング団の名前になっている『江湖』なんてのも、武侠小説では最も基本的な用語だったりするし(スティーブン・キング世界におけるキャッスルロックみたいなもの)。
て、俺もそれほど詳しいわけじゃないけどね。たぶん詳しい人が観たら、あちこちニヤリと出来る要素がありそうで、それが羨ましい。ていうか無知な自分が悔しいわ。
 
とはいえ、武侠ジャンルの総括を意識した『カンフー・ハッスル』とは異なり、本作は徹底したアクション重視の娯楽作。武侠ジャンルの知識がなくても大いに楽しめる。ストーリーも単純だし。
ワイヤーアクションやCGもバリバリ使ってるから純粋な意味でのアクションと言えるかどうか微妙だけど(トニー・ジャーに代表されるようなリアルヒッティング・アクションとは対極にあるけど)、とにかく派手でカッコ良くて、見ててスカッとするのは事実。アクション監督も兼ねるドニー・イェンに相当鍛えられたとかで、(いかにもアイドル俳優の)ニコラス・ツェーショーン・ユーが意外とサマになってるのも驚き。
生身のアクションでは割と古典的な功夫スタイルも取り入れていて、格闘系アクション映画が好きなら文句なしで楽しめるかと。
 
監督はウィルソン・イップ。ドニー・イェンと組んでリアルヒッティング・アクションの傑作(『SPL/狼よ静かに死ね』)をモノにした同監督が、まったく対極のアクション映画を監督したというのも面白い。
ヒロイン役には『2046』のドン・ジェ。まあ色恋話は付け合わせみたいな映画なんで、ひたすら派手なアクションを楽しむべし。ストレス解消には勿論、イケメン揃いなんで女性にもお奨めです。

4月14日公開予定。